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遺伝的な観点から、罹患リスクが高いと示された病気が、一般にどんな年代で、どんなサインから始まるのか。それを知っておくことは、体の小さな変化に気づくための手がかりになります。Genovision Dockの対象86疾患について、その手がかりを整理しました。
本文の読了目安 約8分(疾患一覧・出典を除く)
この記事の前提
遺伝子検査が示すのは、同じ遺伝的な特徴をもつ人たちの集団にみられる統計的な傾向です。あなた個人がいつ発症するかを言い当てるものではなく、診断でもありません。リスクが低いという結果も、その病気にならないという意味ではありません。
たとえば、こんな朝
また、口内炎ができた。
そういえば先月も、その前の月も、繰り返していた気がする——。
30代半ばのAさんは、鏡の前でふとそう思います。疲れがたまっているのだろう、野菜が足りないのだろう。いつもなら、市販薬を塗って、それきり忘れてしまうところでした。
もうひとつ、気になっていることがありました。数週間前から、すねに赤くて少し痛いしこりがある。ぶつけた覚えはないけれど、そのうち消えるだろうと思っていました。
口の中と、すねと。まったく別の場所の、まったく別のできごとです。普通なら、結びつけようがありません。
けれどAさんには、思い出したことがありました。受けた遺伝子検査の結果に、ベーチェット病という聞き慣れない病名が並んでいたこと。その病気は20〜40代に多く、ピークは30代であること。そして——繰り返す口内炎に、皮膚や目の症状が重なったときに疑う病気だということ。
Aさんは、皮膚科の予約を取りました。
これは架空の話です。Aさんが医療機関に足を運べたのは、症状が繰り返していることと、離れた場所の変化が重なっていることに意味があるかもしれない、と知っていたからでした。遺伝的リスクに関する情報も、体の変化に目を向けたり、気になる症状について医療機関へ相談したりするきっかけの一つになり得ます。
補足:口内炎の相談先
口内炎そのものの治療は、歯科口腔外科・耳鼻咽喉科・内科が一般的な相談先です。ベーチェット病が疑われるのは、繰り返す口内炎に皮膚・目・外陰部の症状が加わった場合で、その際は皮膚科や膠原病内科(内科)、目の症状があれば眼科が窓口になります。同じ症状が続くときは、遺伝的リスクが高いと言われていない方でも同じようにご相談ください。
Genovision Dockが、本当にめざしていること
Genovision Dockは、日本人・東アジア人を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)の研究論文にもとづいて、同じ遺伝的な特徴をもつ人たちの集団にみられる罹患の傾向を、平均的な日本人と比べてお示しするサービスです。
ただ、私たちがこのサービスでいちばん大切にしているのは、リスクの数値そのものではありません。その先にある「検査結果を手がかりにした健康行動」です。
健康のためにすべきことは、世の中にあふれています。野菜を食べる、歩く、たばこをやめる、よく眠る、塩分を控える——。どれも正しいけれど、すべてを完璧にこなせる人はいません。だとしたら、一般に推奨されている行動の中から、遺伝的な観点から罹患リスクが高いと示された病気に関係するもの、続けられそうなものから手をつけるのが現実的です。
会員サイトでは、疾患ごとに、発症との関連が報告されている生活習慣や、一般に推奨されている予防行動を紹介しています。リスクを知ることは、不安になるためではなく、どこから手をつけるかを考えるためにあります。
補足
ここで紹介する健康行動は、どれも一般に推奨されているものです。遺伝的リスクから分かるのは「どの病気に注意を向けるか」までで、「どの行動が自分にいちばん効くか」までは分かりません。同じ行動でも、効果の現れ方には個人差があります。
もうひとつの使い方は、「気づく力」を高めること
とはいえ、どれだけ予防に努めても、発症の可能性をゼロにすることはできません。だから健康管理では、生活習慣を見直すことに加え、適切な検診や受診も大切です。
多くの病気は、早い段階で見つかるほど治療の選択肢が広がります。だからこそ、推奨される対象と方法に沿って検診を受けることが大切です。
そのうえで、もうひとつ立ちはだかる問題があります。病気によっては、最初のサインが「よくある不調」と見分けにくい——ということです。
口内炎。目の疲れ。少しの息切れ。足の付け根の痛み。声のかすれ。どれも誰にでも起こることなので、一度きりなら様子をみようと思いがちです。そうして見送られ、次の機会も見送られ、気づいたときには進行している。続く・繰り返す・急に現れた——この3つの変化が、医療機関への相談を考えるきっかけになります。
早期発見が難しい理由は病気によって違います。初期症状が乏しいこと、一般の人に広く勧められる精度の高い検査法がまだ確立していないこと。そして、受診のきっかけが得にくいこと。知識を持つことが、受診を考えるきっかけになる場合があります。
同じ口内炎でも、ベーチェット病のリスクが高いと知っていれば、相談してみようと思える。同じ声のかすれでも、喉頭がんのことを知っていれば、1か月続いた時点で耳鼻咽喉科に足が向く。あらかじめ知っておくことで、医療機関に相談するきっかけになることがあります。
逆もまた同じです。リスクが低いと出ていても、続く症状、繰り返す症状、急に現れた症状は、遺伝的リスクの高い低いにかかわらず受診の目安になります。
読むときの注意
これは、症状の原因を先回りして決めつけるための知識ではありません。口内炎の原因はベーチェット病よりありふれたものの方がずっと多く、診断するのは医師です。知識の役割は、受診して相談するきっかけをつくるところまでです。
早期発見にも不利益はあります。病気がないのに疑わしいと判定されること、放置してよかったものまで見つけてしまうこと、検査そのものの負担です。やみくもに検査を足すことは勧められません。
気づくために、知っておきたい4つのこと
本記事では、一般的な医学情報として次の4点を整理しました。この4つが揃ってはじめて、「気づく」から「動く」までが一本につながります。
いつごろ、発症しやすいのか
年代を知っておくと、「自分にはまだ早い」という思い込みを外せます。性別で時期が違う病気も少なくありません。
乳がんは30代後半から増えはじめ、45歳から69歳にかけてがピークです。緑内障は40歳以上の約20人に1人。一方で潰瘍性大腸炎は20代前半、ベーチェット病は30代がピークです。「若いから大丈夫」が通用しない病気もあります。
どんな初期症状が出るのか
見逃したくないサインを、具体的な言葉で知っておきます。曖昧な不安ではなく、「これが出たら」という一点に絞ることが大切です。
痛みを伴わない血尿(膀胱がん)。1か月以上続く声のかすれ(喉頭がん)。日常生活に支障が出るほどの生理痛(子宮内膜症)。動かすうちに楽になる、朝の手指のこわばり(関節リウマチ)。
どの診療科に行けばよいのか
「何科に行けばいいか分からない」は、受診が先延ばしになる大きな理由です。行き先が決まっていれば、迷う時間がなくなります。
血尿なら泌尿器科、声のかすれなら耳鼻咽喉科、繰り返す口内炎に目の充血が加わるなら眼科と膠原病内科へ。
どんな検査で確かめられるのか
まず、公的に受けられる検診や健診で何が分かるのか。そして症状が出たときに、医療機関でどんな検査が行われるのか。この二つは別のものです。検査を足すかどうかは、症状や家族歴、既往歴をふまえて医師と相談して決めます。
特定健診の基本項目は、質問票・身体計測・血圧・血中脂質・血糖・肝機能・検尿(尿糖と尿蛋白)です。これに加えて、医師が必要と判断した場合にかぎり、心電図・眼底検査・貧血検査・血清クレアチニン(eGFR)が行われます。一方、腫瘍マーカー、PSA、尿酸値、骨密度、自己抗体は含まれません。検尿も尿糖・尿蛋白だけで、尿潜血は対象外です。健診で確認できる項目を知り、気になる症状などがある場合に医師へ相談する際の参考になります。
年代によって異なる、発症・診断の傾向
発症や診断が増える年代には、病気ごとの傾向があります。下は代表的な疾患を、発症・診断が比較的多い年代(参考)に置いたものです。年代ごとの一般的な傾向を知る際の参考になります。
10代
- 1型糖尿病
- ナルコレプシー
- クローン病男性に多い
- ざ瘡(重度)
20代
- 潰瘍性大腸炎
- ベーチェット病
- バセドウ病女性に多い
- IgA腎症
30代
- 痛風(高尿酸血症)男性に多い
- 子宮筋腫女性のみ
- 子宮内膜症女性のみ
- 十二指腸潰瘍
40代
- 乳がん女性に多い
- 大腸がん男性に多い
- 緑内障
- 2型糖尿病男性に多い
50代
- 胃がん男性に多い
- 肺がん男性に多い
- 前立腺がん男性のみ
- 骨粗しょう症女性に多い
60代
- 膵がん
- 膀胱がん男性に多い
- 難聴
- 関節リウマチ女性に多い
70代〜
- 非ホジキンリンパ腫
- アルツハイマー病
- 脳梗塞
- 心房細動男性に多い
※ 代表的な疾患を抜粋したものです。性別は、一方の性だけに起こる病気と、出典が「多い」と明記している病気にのみ添えました。「やや多い」「わずかに高い」など差が小さいものには付けていません。年齢の分布は互いに重なっていて、どの年代でも発症しうることは変わりません。公的な検診は対象年齢と間隔に従って受け、症状があるときは年齢にかかわらず医療機関にご相談ください。年代はあくまで「発症・診断が比較的多い時期」であり、それ以外の年代で発症しないという意味ではありません。1型糖尿病のように成人発症もある病気、関節リウマチのようにどの年齢でも起こる病気も含まれます。また、もとになる統計は有病率・罹患率・診断時年齢など種類が異なり、対象集団や統計年度によっても数字は変わります。全86疾患の詳細は次の一覧をご覧ください。
疾患別・早期発見ガイド
Genovision Dockが解析対象としている疾患について、①いつから気をつけるか ②見逃したくない初期サイン ③相談先の診療科 ④受診・検査の目安をまとめました。気になる疾患名や症状で絞り込めます。
④欄の読み方
④の欄は、「検診・健診」(症状のない人が定期的に受けるもの)と、「症状・所見があるとき」(医療機関で行われる検査)を分けて記載しています。後者は医師が診断や鑑別のために行うもので、症状のない方が検査として追加すべきものではありません。
この症状は、一覧を調べるより先に受診を
次のような症状は、病名を調べるより受診が優先されます。緊急度に応じて2つに分けています。
ただちに119番
- 顔の片側がゆがむ、片腕に力が入らない、ろれつが回らない(脳卒中のサイン。発症時刻を控えてすぐ119番)
- これまで経験したことのない、突然の激しい頭痛
- 強い胸の痛み・圧迫感が続く、冷汗を伴う
- 手足が急に動かなくなる、意識がもうろうとする
当日中に、できるだけ早く専門の診療科へ
- 急な片眼の視力低下、視野の欠け、強い眼の痛みと頭痛・吐き気(眼科/症状が強ければ救急外来)
- 突然、片耳が聞こえにくくなった(耳鼻咽喉科。早く治療を始めるほどよく、待たずに受診してください)
疾患 | いつから気をつける | 気づきたい初期サイン | 相談先の診療科 | 受診・検査の目安 |
|---|---|---|---|---|
がん | ||||
咽頭がん(上咽頭がん) | 15〜39歳(AYA世代)と60歳代の二峰性。40〜60歳に多いとする資料もある他の頭頸部がんと比べ女性や低年齢層に多いとする資料がある(愛知県がんセンター) | 初期のうちは自覚症状がみられないことがあります。最も多いのは頸部リンパ節に転移したことによる「首のしこり」。ほかに鼻づまり、鼻血、鼻水に血が混ざる、耳がつまった感じ、聞こえにくさ。 | 耳鼻咽喉科 | 検診・健診上咽頭がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません症状・所見があるとき首のしこり、鼻血や鼻づまり、耳のつまった感じが続く場合は早めに耳鼻咽喉科へ。鼻から内視鏡を入れて上咽頭を確認し、組織を採る生検、頸部リンパ節転移をみる頸部超音波、CT・MRIで診断と広がりを調べます。 |
食道がん(食道扁平上皮がん) | 60代・70代に好発(全体の約70%)男性に多い(約5.4:1) | 初期には自覚症状がないことがほとんど。熱いものを飲み込んだときにしみる感じ、飲食時の胸の違和感、つかえる感じ、体重減少、胸や背中の痛み。なお、アセトアルデヒドの分解に関わる酵素の活性が生まれつき弱い体質は、症状ではなく危険因子です。 | 内科・消化器内科 | 検診・健診食道がんについては、現在は指針として定められているがん検診はありません症状・所見があるときしみる感じやつかえる感じがあれば内科や消化器内科で上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)。特殊な色素を粘膜に散布して病変を見やすくし、超音波内視鏡で深さや周囲臓器への広がりを、バリウム造影検査で形や位置を調べます。 |
胃がん | 50歳代から増加し、60歳前後が最も多い男性に多い(男女比 約2:1) | 早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合もあります。進むと胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振、貧血、黒い便(血便)。 | 内科・消化器内科 | 検診・健診市区町村の胃がん検診(50歳から2年に1度、胃内視鏡検査または胃部X線検査=バリウム)。特定健診の基本項目に胃の検査は含まれません症状・所見があるとき胃の痛みや黒い便などがあれば内科・消化器内科で内視鏡検査と生検。ピロリ菌に感染していると胃がんになる可能性が高くなるため、感染の有無を調べる検査もあわせて行われます。 |
胃がん(スキルス) | 若年層に多いとされるが、年齢×性別の公的統計はなし若い人や女性にもみられるとされるが、サブタイプ別の全国統計は限られる | 早期の段階では自覚症状がほとんどありません。ほかのタイプの胃がんと比べて若い方や女性に多く、腹膜への転移(腹膜播種)を起こしやすいのが特徴で、早期発見が難しいがんとされます。 | 内科・消化器内科 | 検診・健診市区町村の胃がん検診(50歳から2年に1度、胃内視鏡検査または胃部X線検査=バリウム)を受けられます症状・所見があるとき胃の痛みや不快感、食欲不振などが続けば検診を待たず内科・消化器内科へ。内視鏡やバリウム検査では胃の膨らみが悪く表面のひだが太くなる所見が、CT検査では胃の壁が厚くなる所見がみられます。 |
胃がん(非噴門部胃がん) | 胃がん全体で代用(50歳代から増加、60歳前後が最多)公的統計に内訳なし(胃がん全体では男性に多い) | ピロリ菌に感染していると胃に炎症が起きたり潰瘍ができたりして、胃がんになる可能性が高くなります。早期の段階では自覚症状がほとんどなく、進むと胃の痛みや貧血など。 | 内科・消化器内科 | 検診・健診市区町村の胃がん検診(50歳から2年に1度、胃内視鏡検査または胃部X線検査=バリウム)症状・所見があるとき胃の痛みや貧血などがあれば内科・消化器内科で内視鏡検査と生検。ピロリ菌の感染の有無を調べる検査も行われます経過観察ピロリ菌を除菌しても胃がんになる可能性はゼロにならないため、除菌後も胃内視鏡検査を受けることが大切です。 |
大腸がん | 40歳から増加しはじめ、50歳から急増。高齢になるほど高い男性に多い | 早期の段階では自覚症状はほとんどありません。進行すると便に血が混じる(血便や下血)、便秘や下痢、便が細くなる、便が残る感じ、腹痛、慢性的に出血することによる貧血の症状。 | 消化器科・胃腸科・肛門科 | 検診・健診市区町村の大腸がん検診(40歳から1年に1度、便潜血検査=2日法)。大腸の検査は特定健診に含まれず、貧血検査も医師が必要と認めた場合に行う詳細な健診項目です症状・所見があるとき便潜血が陽性のとき、血便や便通の変化があるときは消化器科・胃腸科・肛門科などを受診し、全大腸内視鏡検査などの精密検査を受けます。 |
肝がん(B型肝炎ウイルス) | 49歳以下で発症する肝がんの主な原因(好発年齢ではなく原因別の内訳)男性に多い | 「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期はほぼ無症状です。進行すると腹部にしこりや圧迫感、痛み、黄疸、倦怠感、むくみなどがあらわれます。 | 内科・消化器内科 | 検診・健診保健所や自治体が委託する医療機関でHBs抗原の肝炎ウイルス検査を受けられます(無料または費用の助成が受けられる場合がありますが、対象や条件はお住まいの自治体にご確認ください)症状・所見があるとき内科・消化器内科で腹部超音波や造影CT・MRI。AFP・PIVKA-Ⅱ・AFP-L3分画などの腫瘍マーカーも用い、腫瘍が小さい場合は2種類以上を測定することが勧められています経過観察B型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変がある場合は、3〜6カ月ごとの定期的な腹部超音波検査や腫瘍マーカー検査が勧められています。 |
肝がん(C型肝炎ウイルス) | 55歳以上の肝がんではC型由来が大部分、60〜74歳で8割超(好発年齢ではなく原因別の内訳)男性に多い | B型と同様、初期はほぼ無症状です。進行すると腹部にしこりや圧迫感、痛み、むくみ、黄疸、倦怠感などがあらわれます。 | 内科・消化器内科 | 検診・健診保健所や自治体が委託する医療機関でHCV抗体の肝炎ウイルス検査を受けられます(無料または費用の助成が受けられる場合がありますが、条件はお住まいの自治体にご確認ください)。抗体が陽性の場合は、今も感染が続いているかを核酸増幅検査(HCV-RNA検査)で確かめます症状・所見があるとき内科・消化器内科で腹部超音波や造影CT・MRI、AFP・PIVKA-Ⅱ・AFP-L3分画などの腫瘍マーカー経過観察慢性肝炎や肝硬変がある場合は3〜6カ月ごとの定期的な腹部超音波検査や腫瘍マーカー検査が勧められています。 |
膵がん | 60歳頃から増え、高齢になるほど多い男女差は比較的小さい | 膵臓はがんが小さいうちは症状が出にくく、早期の発見は簡単ではありません。進むと腹痛、食欲不振、腰や背中の痛み、腹部膨満感、体重減少、黄疸。糖尿病の発症や悪化もサインです。 | 消化器内科 | 検診・健診膵臓がんについては、指針として定められている検診はありません症状・所見があるとき腹痛や腰・背中の痛み、糖尿病の発症や悪化があれば消化器内科へ。腹部超音波、造影CT、膵管をCTより細かく観察できるMRI、超音波内視鏡(必要に応じて組織を採るEUS-FNA)で調べます。腫瘍マーカーの値だけでは診断できません。 |
喉頭がん(喉頭扁平上皮がん) | 50代ごろから増加し、70〜80代がピーク男性に多い(罹患率は女性の10倍以上) | 喉頭がんの60〜65%を占める声門がんでは、早い時期から声のかすれ(嗄声)があらわれ、痰に血液が混じることも。声門上部のがんではのどの異物感や飲み込んだときの痛み。 | 耳鼻咽喉科 | 検診・健診喉頭がんについては、指針として定められているがん検診はありません症状・所見があるとき声のかすれ(嗄声)が続くときやのどの異物感・血痰があるときは早めに耳鼻咽喉科へ(がん研有明病院は1か月以上続く場合の受診を勧めています)。喉頭内視鏡で観察し、組織を採る生検で組織型を確かめ、頸部超音波でリンパ節転移、CT・MRIで広がりを調べます。 |
肺がん | 40歳代後半から増加し、50歳以上で急激に増加男性に多い(死亡数は男性が女性の約2.5倍) | 早期はほぼ無症状。咳や痰、血痰、胸の痛み、動いたときの息苦しさや動悸。原因が分からない咳や痰が2週間以上続く場合や、血痰が出る場合は早めに医療機関を受診しましょう。 | 呼吸器内科・呼吸器外科 | 検診・健診市区町村の肺がん検診は40歳以上・1年に1回で、検診項目は質問と胸部X線検査です。低線量CT検査は、原則として50〜74歳の重喫煙者(喫煙指数600以上で、現在喫煙中の方および禁煙後15年以内の方)を対象に推奨されていますが、全国一律の住民検診には導入されておらず、一部の自治体で実証事業が行われている段階です。胸部X線に喀痰細胞診を併用することは、検診としては実施しないことが勧められています症状・所見があるとき咳や痰が2週間以上続く、血痰が出るときは呼吸器の診療科でCT、気管支鏡と生検を行います。 |
肺がん(肺腺がん) | 組織型別の内訳なし。肺がん全体(60〜70代好発)で代用男女とも最多タイプ(女性肺がんの7〜8割) | 腺がんは女性や喫煙をしたことがない人にも発生します。気管支の先に小さく発生することが多く、持続する咳嗽(咳)、血痰、胸痛がみられます。 | 呼吸器内科・呼吸器外科 | 検診・健診肺がん検診は組織型ごとに分けず共通で、40歳以上・1年に1回、検診項目は質問と胸部X線検査です。低線量CT検査は、原則として50〜74歳の重喫煙者(喫煙指数600以上で、現在喫煙中の方および禁煙後15年以内の方)を対象に推奨されていますが、全国一律の住民検診には導入されておらず、一部の自治体で実証事業が行われている段階です。症状・所見があるとき咳や血痰、胸の痛みが続くときは呼吸器の診療科でCTや気管支鏡、生検を受けます。 |
肺がん(肺扁平上皮がん) | 組織型別の内訳なし。70歳以上調査で男性の最多組織型(44%)男性に多い | 喫煙との関連が強く、最大の発症要因は喫煙です。太い気管支(肺門部・中枢気道)に局所的に広がることが多く、咳や痰、血痰がみられます。 | 呼吸器内科・呼吸器外科 | 検診・健診肺がん検診は組織型を分けず共通で、40歳以上・1年に1回、検診項目は質問と胸部X線検査です。低線量CT検査は、原則として50〜74歳の重喫煙者(喫煙指数600以上で、現在喫煙中の方および禁煙後15年以内の方)を対象に推奨されていますが、全国一律の住民検診には導入されておらず、一部の自治体で実証事業が行われている段階です。喀痰細胞診の併用は、検診としては実施しないことが勧められています症状・所見があるとき咳や血痰が続けば呼吸器の診療科でCT、気管支鏡と生検を行い、組織型を確かめます。 |
乳がん | 30歳代後半から増加。45歳まで急増し、45〜69歳の間にピーク女性 | 主な症状は乳房のしこりです。ほかに乳房にくぼみができる、乳頭から分泌物が出る(血性のことも)、乳頭や乳輪がただれる、左右の乳房の形が非対称になるなどの変化。 | 乳腺科・乳腺外科 | 検診・健診市区町村の乳がん検診(40歳から2年に1度のマンモグラフィ)。特定健診には含まれません。普段から乳房を意識する生活習慣「ブレスト・アウェアネス」を心がけ、気になる症状があらわれた場合は次回の検診を待たずにすぐ受診を症状・所見があるときしこりや乳頭の分泌物に気づいたら乳腺科・乳腺外科で乳腺専門医の診察を。マンモグラフィの追加撮影、超音波検査、細胞診・組織診で確定します。 |
子宮頸がん | 30〜40代(20〜30代で急増)女性 | 前がん病変(CINやAIS)の時期には症状がなく、おりものや出血、痛みもありません。月経中でないときや性交時の出血、濃い茶色や膿のようなおりもの、下腹部や腰の痛みは進行のサイン。 | 婦人科 | 検診・健診市区町村の子宮頸がん検診(20歳から2年に1度の細胞診)。2024年4月より、厚生労働省の要件を満たす一部の自治体に限りHPV検査単独法も住民検診で実施でき、30歳から60歳の女性を対象に、陰性であれば5年に1度となります症状・所見があるとき不正出血やおりものの異常があれば検診を待たずためらわずに婦人科へ。コルポスコープで子宮頸部を詳しく見て、異常が疑われる部位の組織を採取します。 |
卵巣がん(上皮性) | 40歳代から増え始め、50歳代が最多女性 | 初期の段階では症状がほとんどありません。進行すると服のウエストがきつくなる、下腹部にしこりが触れる、頻尿や便秘、食欲がなくなる、腹水がたまっておなかが大きく前に突き出るなど。 | 婦人科 | 検診・健診国の指針で定められたがん検診に卵巣がんは含まれません症状・所見があるときおなかの張りや下腹部のしこり、頻尿などが続けば早めに婦人科へ。経腟超音波断層法、骨盤内をみるMRI、リンパ節や遠隔転移をみるCTで調べます。CA125などの腫瘍マーカーの値だけでは診断できません。 |
前立腺がん | 50歳以上で発症、60歳以後に多い男性 | 早期の前立腺がんは、多くの場合自覚症状がありません。進行すると尿が出にくい、排尿の回数が多い、血尿や排尿痛などの症状があらわれます。 | 泌尿器科 | 検診・健診現在は指針として定められているがん検診はありませんが、職場や市区町村の検診、人間ドックなどでPSA(血液検査)を受けられることがあり、そのメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。PSAは特定健診の項目には含まれません症状・所見があるときPSA高値や排尿の症状があれば泌尿器科で直腸診(肛門から指を挿入して前立腺の状態を確認)、MRI、前立腺生検を行い確定します。 |
膀胱がん | 45歳以上が95%超、65歳以上が80%男性に多い(年齢調整罹患率は女性の約4倍) | 膀胱がんの85%は目に見える血尿をきっかけに発見されます。血尿は痛みなどを伴わないことが特徴で、一度出たきりしばらく出ないことも。頻尿や排尿時の痛みが出ることもあります。 | 泌尿器科 | 検診・健診国の指針で定められたがん検診に膀胱がんは含まれません。特定健診の検尿は尿糖・尿蛋白が対象で、尿潜血は含まれません症状・所見があるとき痛みを伴わない目に見える血尿は重要な病気のサインです。早めに泌尿器科で尿潜血検査・尿細胞診、膀胱鏡、超音波、CT・MRIを受けます。尿の中のNMP22やBTAを測定することもあります。 |
脳腫瘍(神経膠腫) | 型により異なる。膠芽腫は平均58.8歳、びまん性星細胞腫37.8歳、乏突起膠腫42.2歳公的統計に性別の記載なし | 頭痛や吐き気、意識障害。朝起きたときや昼寝のあとに症状が強く出ることがあります。けいれん発作、手足の麻痺、話しにくさ、性格の変化、しびれなど、発生部位により多様です。 | 脳神経外科・脳神経内科 | 検診・健診指針として定められたがん検診はありません。がんの発見を目的とした定期的な脳ドックが推奨されているわけでもありません症状・所見があるとき朝方に強い頭痛、けいれん、手足の麻痺や言葉の出にくさがあれば脳神経外科・脳神経内科へ。CT検査やMRI検査で腫瘍の位置や大きさを調べ、確定には腫瘍組織を採取して行う病理検査が必要です。PET検査を行うこともあります。 |
甲状腺がん(乳頭がん) | 40〜50代がピーク(10〜80代の幅広い年齢層)女性に多い(男女比1:5〜8) | 多くの場合、自覚症状がないか、しこり以外の症状はありません。病状が進行すると、のどの違和感、嗄声(声のかすれ)、痛み、飲み込みにくさがあらわれます。 | 内分泌内科または耳鼻咽喉科(甲状腺外科) | 検診・健診指針として定められたがん検診はありません症状・所見があるとき首のしこりや、のどの違和感・声のかすれ・飲み込みにくさがあれば内分泌内科や耳鼻咽喉科で頸部の超音波検査を受けます。必要に応じて穿刺吸引細胞診(細い針で細胞を採る検査)を行い、CTやMRIで広がりや転移を調べます経過観察手術で甲状腺をすべて摘出したあと、再発の有無を確認するためにサイログロブリンを検査することがあります。 |
非ホジキンリンパ腫 | 70〜80歳が発症のピークやや男性に多い(男女比 約11:9) | 首や腋の下、足の付け根などリンパ節の多いところに腫れやしこりがあらわれ、多くの場合は痛みを伴いません。進行すると発熱、体重減少、盗汗(大量の寝汗)がみられます。 | 血液内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき痛みを伴わないリンパ節の腫れが続く、発熱・大量の寝汗・体重減少があれば血液内科へ。診断や病型を確定するためにリンパ節などの生検(組織を採る検査)を行い、CTやPET-CTなどの画像検査、骨髄検査で広がりを調べます。 |
慢性リンパ性白血病 | 60歳以上に多く、診断時年齢の中央値は約70歳公的資料に男女比の記載なし | 早期はほとんど症状がありません。進行すると貧血、リンパ節の腫れ、体重減少、倦怠感、発熱、盗汗(大量の寝汗)などの症状があらわれます。 | 血液内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。白血球数は特定健診の基本項目には含まれていません症状・所見があるときリンパ節の腫れ、貧血、体重減少、発熱、大量の寝汗が続けば血液内科へ。末梢血に含まれるがん化したBリンパ球を顕微鏡で詳しく調べる検査が中心で、治療法を決めるための染色体検査などを行います。骨髄検査(骨髄穿刺・骨髄生検)は必要に応じて行うことがあります。 |
糖尿病や生活習慣の病気 | ||||
1型糖尿病 | 小児・思春期に多く、発症年齢のピークは10〜15歳。成人を含むあらゆる年齢で発症日本では女性にやや多い | 口渇(のどの渇き)、多飲、多尿、体重減少がよくある症状です。症状は突然起こることが特徴で、悪化するとケトーシスやケトアシドーシスという危機的状態となり、昏睡に至ることもあります。 | 糖尿病内科・内分泌代謝内科(小児は小児科) | 検診・健診特定健診の対象は原則40〜74歳(実施年度中に75歳に達する日の前日まで)で、基本項目に血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c)が含まれます症状・所見があるとき口渇・多飲・多尿・体重減少があれば早めに受診を。高血糖を確認したうえで、抗GAD抗体、抗IA-2抗体、抗インスリン抗体、抗ZnT8抗体などの自己抗体を調べます。嘔吐や意識がもうろうとする場合は救急受診を。 |
2型糖尿病 | 40代6.3%→50代11.1%→60代15.7%と上昇し、70歳以上が最高(男性26.2%)男性に多い(強く疑われる者 男性16.8%・女性8.9%) | 症状がなく、糖尿病になっていることに気づいていない方も多くいます。進行すると喉が渇く、水をよく飲む、尿の回数が増える、体重が減る、疲れやすくなるといった症状が出ます。 | 糖尿病内科・内分泌代謝内科(一般内科でも可) | 検診・健診特定健診の基本項目に血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c)が含まれます。保健指導の対象になるかは血糖値だけで決まらず、腹囲、血圧、脂質のリスク該当数に喫煙歴と年齢(40〜64歳・65〜74歳)を合わせて、積極的支援・動機付け支援に区分されます症状・所見があるとき喉の渇き、尿の回数の増加、体重減少、疲れやすさがあれば医療機関を受診し、血糖の再検査を受けましょう。 |
肥満 | 男性は40〜60代がほぼ同水準で60歳代が最高(35.0%)。女性も60歳代が最高(25.0%)男性に多い(男性31.5%・女性21.1%) | 自覚される症状は乏しく、多くは健診の身体計測で気づかれます。ウエスト周囲長(腹囲)の測定によって内臓脂肪の蓄積が疑われることがあります。 | 肥満外来・内分泌代謝内科・糖尿病内科 | 検診・健診特定健診で身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)を行います。保健指導の区分は腹囲やBMIだけでは決まらず、血糖・脂質・血圧のリスク該当数や喫煙歴、年齢を組み合わせて階層化されます症状・所見があるときウエスト周囲長のスクリーニングで内臓脂肪の蓄積が疑われた場合、医療機関で腹部CT検査などにより内臓脂肪面積を測定し、100cm2以上であれば内臓脂肪型肥満と診断します。 |
メタボリックシンドローム | 40代から増え、70〜74歳が最高(男女計 40-44歳8.9%→70-74歳19.1%)男性に多い(該当者及び予備群 男性42.4%・女性12.9%) | 健診の腹囲と血圧・血糖・脂質の結果から判定されます。腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上で、血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準に該当する状態です。 | 内科・内分泌代謝内科・生活習慣病外来 | 検診・健診特定健診の腹囲・血圧・血糖・脂質の結果から、腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上で、血圧・血糖・脂質のうち2つ以上が基準に該当するかを判定します。メタボリックシンドロームの診断基準と特定保健指導の基準は少し異なるため、「メタボ該当=保健指導対象」ではありません症状・所見があるとき医療機関で腹部CT検査などにより内臓脂肪面積を測定し、100cm2以上であれば内臓脂肪型肥満と診断します。 |
妊娠糖尿病 | 妊娠中期(24〜28週)の検査で発覚することが多い。妊婦の7〜9%が該当女性のみ(妊娠中に限定) | 自覚症状ではなく、妊婦健診の血糖検査で見つかることがほとんどです。妊娠初期の随時血糖や、妊娠中期の50gグルコースチャレンジテストが陽性となって発見されます。 | 産婦人科(管理は糖尿病内科と連携) | 検診・健診妊婦健診では妊娠初期と妊娠中期に血糖検査が行われます。妊娠中期には50gグルコースチャレンジテスト(140mg/dL以上を陽性とする方法)などが用いられ、陽性の場合は75gブドウ糖負荷試験で診断します。妊産婦は特定健診の対象から除かれるため、妊婦健診が早期発見の柱です症状・所見があるとき気になることがあれば産婦人科へ経過観察産後1〜3か月に75gブドウ糖負荷試験で再評価を受けます。 |
脳や神経の病気 | ||||
パーキンソン病 | 50歳以上に多く、65歳以上で急増明確な性差記載なし(高齢者に多い) | 振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)が主な症状。先行して便秘、嗅覚の低下、REM期睡眠行動異常症、五十肩と間違われる痛みが出ることもあります。 | 脳神経内科(神経内科) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき手のふるえ、動作の遅さ、歩きにくさが続けば脳神経内科へ。診断では症状とその経過が重要で、体のかたさや歩行の様子などを診察します。他の病気でないことを確認するためにMRI検査を行い、DATシンチグラフィ(ダットスキャン)やMIBG心筋シンチグラフィを行うこともあります。 |
むずむず脚症候群 | 中年以降・40歳以上に多く、加齢とともに増加女性に多い(男女比 約1:1.5) | 夕方から深夜にかけて、脚を中心に「むずむず」「痛がゆい」「虫が這う」といった不快な感覚が出ます。動かすと和らぎ、安静に戻ると再び出現するため、眠りにつけません。 | 脳神経内科・睡眠外来(一部は心療内科) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき夕方から夜に脚の不快感が出て、布団の中でじっとしていられず眠れない状態が続けば、脳神経内科や睡眠外来など専門の医療機関を受診します。鉄が不足する貧血や、腎不全で人工透析を受けている方に伴って出現することが多いため、これらの病気がないかもあわせて確認します。 |
アルツハイマー病 | 認知症全体の統計として、75歳以上で有病率が急上昇し90歳以上で6割超認知症全体では女性の有病率が高い傾向 | 新しいことを覚えられない、最近あった自分の体験を忘れる、同じことを何度も言ったり聞いたりする、物の置き場所を忘れて探し回る、時間や場所の感覚が不確かになる、関心や興味が失われる。 | もの忘れ外来 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるときもの忘れが続けばもの忘れ外来へ。診察、血液検査、神経心理学的検査(HDS-RやMMSEなど)を行います。認知症の原因となる病気を見分けるために、頭部MRIやCT、脳血流シンチグラフィーなどの画像検査を行います。 |
てんかん | 0歳(乳幼児期)と70代前半の二峰性女性がやや高率 | 意識を失ったり、手足のけいれんを起こしたりすることがあります。発作の症状は患者さんによってさまざまで、あらわれ方は一人ひとり異なります。 | 小児科・脳神経内科・脳神経外科・精神科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき発作が疑われたら小児科や脳神経内科、脳神経外科、精神科へ。脳波とMRIが最も基本的な検査です。発作型を決めるには臨床症状に加えて脳波所見が必要な場合があり、診断が難しいときは長時間のビデオ・脳波同時記録で発作時の脳波を確認することがあります。 |
片頭痛 | 女性の30代・40代女性に多い(男性の3倍以上) | 片側性のズキズキと脈打つような拍動性の痛みが起こり、光・音・においを不快に感じます。吐き気や嘔吐を伴うことが多く、キラキラした光が見える閃輝暗点を伴うこともあります。 | 脳神経内科・頭痛外来 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるときくり返す頭痛は脳神経内科や頭痛外来へ。診断は国際頭痛学会の診断基準を確認して行います。頭痛は脳卒中や脳腫瘍、髄膜炎などの危険な病気が原因となっている場合があり、速やかな診断・対応が必要です。必要に応じてCTやMRI、髄液検査などの検査を行うこともあります。 |
ナルコレプシー | 10〜20歳、ピークは14〜16歳公的資料に性差の記載なし | 耐え難い睡眠欲求が出現し、食事中や歩行中など通常眠ることがない状況で居眠り(睡眠発作)をします。情動脱力発作(筋緊張の一時的な消失)、入眠時幻覚、睡眠麻痺(金縛り)も特徴です。 | 睡眠外来・精神科・脳神経内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき日中の強い眠気が続く、体の力が急に抜けるといった症状があれば睡眠の専門医へ。1〜2泊の終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)で他の睡眠障害がないことと十分な夜間睡眠がとれたことを確認し、その翌日に睡眠潜時反復検査(MSLT)を行います。髄液中のオレキシン測定を行うこともあります。 |
目、鼻、耳の病気 | ||||
加齢黄斑変性症 | 50歳以上、加齢とともに増加男性にやや多い | ものがゆがんで見える(変視症)、見ているものの中心が暗く欠けて見える(中心暗点)、視力の低下が起こります。症状が進むと色が分かりにくくなることがあります。 | 眼科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません(特定健診の眼底検査は、一定の基準の下で医師が必要と認めた場合に実施する詳細な健診項目です)症状・所見があるときものがゆがむ、中心が暗いなどがあれば眼科へ。眼底検査でドルーゼンや出血、新生血管を調べ、OCT(網膜の断層撮影)や蛍光眼底造影を行います経過観察アムスラーチャートは簡便で自宅でも確認でき、早期発見や経過観察に役立ちます。 |
中心性漿液性脈絡網膜症 | 30〜50代男性に多い | 片目に発症することが多く、ものがゆがんで見える(変視症)、中心がかすんで見える、色が淡く見えるといった症状が出ます。痛みや充血はほとんどありません。 | 眼科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき片目の中心がゆがむ・かすむ、色が淡く見えるといった症状が出たら眼科へ。眼底検査とOCT(網膜の断層撮影)で調べ、フルオレセインやインドシアニングリーンによる蛍光眼底造影を行います経過観察再発を繰り返す場合や慢性化する場合もあるため、症状が落ち着いた後も医師の指示に沿って確認を続けます。 |
緑内障 | 40歳以上の約20人に1人(5.0%)。40代以降、加齢とともに著明に増加(80歳以上で1割超)男性がわずかに高い | 視野欠損は初期にはほとんど自覚がない場合が多く、治療が遅れがちです(急性の発作は例外で、眼痛・視力低下・嘔気・嘔吐などが急激に生じます)。 | 眼科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません(特定健診の眼底検査は、一定の基準の下で医師が必要と認めた場合に実施する詳細な健診項目です)症状・所見があるとき多くの緑内障患者の眼圧が正常範囲内であることもわかっており、眼圧だけでは判断できません。眼科で視力検査、眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査、隅角検査、眼底検査、網膜光干渉断層計検査、視野検査などを行います。急な眼痛・視力低下・嘔気・嘔吐は緊急受診を。 |
白内障 | 早い人は40代から。80代ではほぼ全員公的資料に性差の記載なし | 眼がかすむ、まぶしさを感じる(羞明)、明るいところで物が見えにくい、物が二重・三重に見える、視力低下。 | 眼科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき眼がかすむ、まぶしさを感じるなど眼に異常を感じたら、まず眼科を受診しましょう。主に視力検査と細隙灯顕微鏡検査(細い光を当てて水晶体の濁りを見る検査)を行います。日常生活に支障が出るほど白内障が進行している場合に、手術を検討します。 |
強度近視 | 小・中学生では−6.00D以下を強度近視とし、中学生の有病率は11.3%との報告。17歳ごろまで進行公的資料に男女差の記載なし | 近視の進行に加え、飛蚊症や光視症。近視性脈絡膜新生血管、近視性網脈絡膜萎縮、近視性牽引黄斑症を合併しやすく、緑内障になるリスクも高くなります。 | 眼科(強度近視外来) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき強度近視は目の前後の長さ(眼軸)が異常に延長した状態で、眼科では通常の眼科的検査に加え、光干渉断層計(OCT)による網膜断層像の検査を行います。飛蚊症や光視症が急に出現したときは網膜剥離のおそれがあり、すぐに眼科で精密検査を受けてください。 |
乱視 | ほとんどの人が持つ。若年は直乱視が優位、加齢により倒乱視が増加公的資料に性差の記載なし | 乱視の矯正が合わないと、目が疲れやすくなることがあります。 | 眼科 | 検診・健診健診の視力検査だけでは乱視は分かりません症状・所見があるとき見えにくさや目の疲れが気になるときは、眼科で詳しい検査を受けてください。 |
難聴 | 65歳を過ぎる頃から自覚が増え、70代後半〜80代で急増各年代で男性がやや高率 | 加齢性難聴では一般的に高い音から聞こえが悪くなり、耳鳴りを自覚することもあります。突発性難聴はある日突然、片側の耳が聞こえなくなり、耳が詰まった感じを伴います。 | 耳鼻咽喉科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき急に聞こえにくくなったら、当日から数日以内を目安に、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください(突発性難聴は早期に治療を始めることが大切です)。検査は標準純音聴力検査(ヘッドホンで音の高さごとの聞き取りのレベルを測定)が基本で、必要に応じて語音聴力検査(ことばの聞き取り検査)を行います。 |
血管や心臓の病気 | ||||
高血圧(本態性) | 加齢とともに増加。65〜74歳で63%、75歳以上で74%男性に多い(収縮期140mmHg以上 男性27.5%・女性22.5%) | 自覚症状がほとんどなく自分では気づかないため、毎年健診を受けて血圧を確認することが極めて重要です。 | 内科・循環器内科 | 検診・健診特定健康診査の基本的な項目に血圧測定が含まれます。収縮期130mmHg・拡張期85mmHg以上が保健指導判定値、収縮期140mmHg・拡張期90mmHg以上が受診勧奨判定値です症状・所見があるとき収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上が高血圧です。健診で指摘されたら受診しましょう経過観察家庭血圧を朝(起床後1時間以内、食事・服薬の前)と夜(就寝前)に測り、診察室の血圧と合わせて管理します。 |
虚血性心疾患(心筋梗塞など) | 高齢者に多い(具体的な発症年代の公的記述はなし)男性、および閉経後の女性がリスク。加齢とともに女性の発症が増える | 身体に負担がかかったときの胸の痛み(圧迫感・絞扼感)や息切れ、喉元・顎・左肩の痛み。激しい胸痛、呼吸困難、冷汗、嘔気も。糖尿病の方や高齢の方は症状が分かりにくいことが多いです。 | 循環器内科・心臓血管外科 | 検診・健診特定健康診査の基本的な項目に血圧・血糖(空腹時血糖またはHbA1c)・脂質(LDL・HDL・中性脂肪)と喫煙歴の質問票が含まれ、リスク評価の基本になります。心電図は医師が必要と認めた場合に実施する詳細な健診項目です症状・所見があるとき激しい胸の痛みや冷汗があればすぐに救急要請を。専門医(循環器内科、心臓血管外科など)が心電図、運動負荷心電図、心筋シンチグラフィー、冠動脈CTやMRI、冠動脈造影検査から必要なものを選びます。 |
心房細動 | 70歳代で男性3.44%・女性1.12%、80歳以上で男性4.43%・女性2.19%男性に多い(同年代で女性の約2〜3倍) | 動悸(ドキドキする)、胸が苦しい、息切れ、めまい、疲れやすさ。30〜40%の人は発症しても症状がないとされ、無症状の方がむしろ病状の見通しが悪いというデータもあります。 | 循環器内科 | 検診・健診特定健康診査の基本的な項目に心電図は含まれず、一定の基準の下、医師が必要と認めた場合に実施する詳細な健診項目です。自宅で心房細動を見つける最も簡単な方法は脈を数える「検脈」です症状・所見があるとき動悸や脈の乱れがあれば循環器内科へ。不整脈の診断には心電図検査が必須で、発作的にしか出ない場合は24時間心電図(ホルター心電図)で確認します。 |
脳梗塞(全般) | 発症時年齢の中央値は全体78歳(男性75歳、女性82歳)男性57.3%・女性42.7%。女性はより高齢で発症 | 顔の麻痺、腕の麻痺、言葉の障害(FAST)が代表的なサインです。症状が24時間以内(多くは1時間以内)に消える一過性脳虚血発作は、脳梗塞の前触れ発作と考えられています。 | 脳神経内科・脳血管内科(緊急時は救急) | 検診・健診特定健康診査の基本的な項目に血圧・血糖・脂質が含まれ、リスクの把握に役立ちます症状・所見があるとき顔の麻痺、腕の麻痺、言葉の障害(FAST)があれば直ちに救急要請を。症状が消えても一過性脳虚血発作の可能性があり、必ず受診してください。病院では頭部MRI・MRAや頸動脈エコーで脳と血管の状態を調べます。 |
アテローム血栓性脳梗塞 | 病型別の公的データはなし。脳梗塞全体では平均76.1歳(男性中央値75歳・女性82歳)脳梗塞全体では男性が約58%。女性はより高齢で発症 | 顔の麻痺、腕の麻痺、言葉の障害などが突然あらわれます。症状が24時間以内(多くは1時間以内)に消える一過性脳虚血発作は、脳梗塞の前触れ発作と考えられています。 | 脳神経内科・脳血管内科 | 検診・健診特定健康診査で血圧・血中脂質(LDLコレステロール)・血糖(HbA1c)・喫煙歴の質問票を確認し、動脈硬化の危険因子の管理に役立てます症状・所見があるとき顔や腕の麻痺、言葉の障害が出たらすぐに救急受診を。頭部MRI・MRAや頸動脈エコーで脳と血管を調べます。一過性脳虚血発作をきっかけに、心電図で心房細動などの不整脈や、エコーで頭蓋内・頸部血管の狭窄といった脳梗塞の原因となる病気が見つかることがあります。 |
心原性脳塞栓 | 原因の心房細動の有病率が70歳代から上昇し、80歳以上でさらに上昇原因である心房細動は男性に多い | 症状は突然起こり、片側の手足の麻痺、意識障害、言葉が出ない(失語)、視野の左右どちらかが半分欠ける(半盲)など。最も重症になりやすく「ノックアウト型脳梗塞」とも呼ばれます。 | 脳神経内科・脳神経外科(救急)、背景疾患の精査は循環器内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健康診査の基本的な項目に心電図は含まれないため、自宅で脈を数える「検脈」が手がかりになります症状・所見があるとき突然の片側の手足の麻痺、失語、意識障害は救急受診を。原因となる心房細動を調べるため心電図や24時間ホルター心電図を行い、頸動脈や心臓の超音波検査もあわせて行います。 |
脳動脈瘤 | 保有は成人の2〜6%。破裂(くも膜下出血)は40代から50代にかけて急増し、平均65.7歳女性に多い(くも膜下出血の男性割合は30%) | 通常は無症状で、脳ドックなどで偶然見つかることが多くなっています。物が二重に見える(複視)、片方のまぶたが下がる(眼瞼下垂)、視力低下、視野欠損が出ることもあります。 | 脳神経外科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。未破裂脳動脈瘤を発見するにはMRA(血管の画像検査)を行う必要があり、脳ドックの主要な検査項目になっています症状・所見があるとき今まで経験したことのない激烈な頭痛が瞬間的に起きたときは、くも膜下出血の可能性もあるため救急受診が必要です。複視やまぶたの下がりがあれば脳神経外科へ。脳血管3DCTAや脳血管撮影を行うことがあります。 |
閉塞性動脈硬化症(ASO) | 60歳以上で1〜3%、70歳以上で2〜5%男性に多い(女性の約2倍) | 一定距離を歩くと筋肉が張ったように足が痛み、立ったまま休息すると痛みが治まります(間欠性跛行)。進行するとじっとしていても足先が痛くなり、傷(潰瘍)や壊死を生じます。 | 循環器内科・血管外科 | 検診・健診特定健康診査で血糖・血圧・血中脂質・喫煙歴を確認し、動脈硬化の危険因子を管理します。ABI検査は特定健康診査には含まれません症状・所見があるとき歩くと足が痛み休むと治まる、じっとしていても足先が痛い、傷が治らないなどがあれば循環器内科・血管外科へ。足の血圧と腕の血圧の比(ABI)を測り、0.90以下では主幹動脈の狭窄や閉塞が疑われます。必要に応じて超音波検査や造影CTで詰まりの場所と程度を確認します。 |
高安動脈炎(大動脈炎症候群) | 女性は20歳前後がピーク女性に多い(男女比1:8) | 病初期より微熱または高熱、全身倦怠感、易疲労感が数週間から数か月続きます。進行すると視力障害や眼前暗黒感、めまい・失神発作、頸部痛、脈拍の減弱や左右の血圧差がみられます。 | 循環器内科(高安動脈炎外来) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。左右の血圧差やCRP(炎症反応)は特定健康診査の項目ではないため、健診では分かりません症状・所見があるとき長引く発熱やだるさに加え、めまい・失神発作、頸部痛、腕の脈が触れにくい、左右の血圧差が10mmHg以上あるなどがあれば循環器内科へ。赤沈やCRP、白血球、貧血の血液検査に加え、超音波検査(総頸動脈のマカロニサイン)、造影CT・造影MRI、PET-CTで専門医が診断します。 |
肺の病気 | ||||
慢性閉塞性肺疾患 | 40歳以上の約12人に1人。高齢になるほど多い男性に多い(患者数 男18.3万人・女7.9万人) | 歩行時や坂道・階段での息切れ、長引くせきやたんがみられます。最大の原因は喫煙で、喫煙者のおよそ15〜20%が発症するとされています。 | 呼吸器内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。呼吸機能検査や胸部X線は特定健康診査の基本的な項目にも詳細な項目にも含まれません症状・所見があるとき喫煙歴があって坂道や階段で息切れする、せきやたんが続くときは呼吸器内科を受診しましょう。呼吸機能検査(スパイロメトリー)ができる医療機関の受診がすすめられます。CTでは肺気腫を認めることがあります。 |
喘息 | 二峰性:幼児期(2〜6歳)と中高年期(40〜60代)小児期は男児、思春期以降〜成人期は女性に多い | 発作的に咳や痰が出て、ゼーゼー、ヒューヒューという音を伴って息苦しくなります。夜間や早朝に出やすいのが特徴です。 | 呼吸器内科(アレルギー科でも可) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき夜間や早朝に出やすい咳や、ゼーゼー・ヒューヒューという音を伴う息苦しさを繰り返すときは受診を。スパイロメータで気道がどのくらいせまくなっているかを調べ、気管支拡張薬を吸った前後で流れが改善すれば喘息の可能性が高いと判断します。吐いた息の一酸化窒素(NO)濃度や血中好酸球、特異的IgE抗体検査で気道の炎症やアレルギーの原因を調べます。 |
特発性肺線維症 | 50歳以上男性に多い | 痰を伴わない咳(乾性咳嗽)と、坂道や階段、平地歩行中、入浴・排便などの日常生活の動作の中で感じる呼吸困難。進行するとばち指がみられます。 | 呼吸器内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。胸部X線は特定健康診査の基本的な項目にも詳細な項目にも含まれません症状・所見があるとき痰を伴わない咳や労作時の呼吸困難が続く、聴診で捻髪音(パリパリという音)やばち指を指摘された場合は呼吸器内科へ。胸部高分解能CT(HRCT)で網状影や蜂巣肺などの所見を専門医が評価し、肺機能検査で拘束性障害(%VC80%未満)や拡散障害(%DLCO80%未満)を確認します。 |
胃腸や肝臓の病気 | ||||
B型慢性肝炎 | 10代後半〜30代で肝炎を発症し始める明確な差なし(母子感染由来が中心) | 感染しても数年から数十年は肝炎が起きないことがあり(無症候性キャリア)、多くは自覚症状がありません。症状が出ると吐き気、嘔吐、倦怠感、黄疸がみられます。 | 消化器内科・肝臓内科 | 検診・健診保健所や自治体が委託する医療機関で肝炎ウイルス検査(HBs抗原検査)を受けられます。特定健康診査で分かるのはAST・ALTなどの肝機能までで、ウイルス検査は含まれません症状・所見があるときHBs抗原が「陽性」ならB型肝炎ウイルスに感染しています。消化器内科・肝臓内科で血液中のウイルス量(HBV-DNA)を測ります経過観察慢性肝炎の状態では年0.5〜0.8%で肝臓がんが発症するため、早期に発見できるよう定期的に受診しましょう。 |
C型慢性肝炎 | 加齢とともに抗体保有率が上昇し60代でピーク明確な差なし | 慢性肝炎の段階ではほとんどの場合、自覚症状がありません。倦怠感などの自覚症状を訴えるのは2〜3割で、血液検査で初めて肝機能異常を指摘されるケースも多くみられます。 | 消化器内科・肝臓内科 | 検診・健診保健所や自治体が委託する医療機関で肝炎ウイルス検査(HCV抗体検査)を受けられます。特定健康診査のAST・ALTは肝臓の炎症の程度をみる手がかりですが、正常や軽度の上昇のみであっても病気が進行していることがあります症状・所見があるときHCV抗体が陽性なら、消化器内科・肝臓内科でHCV核酸増幅検査(HCV-RNA)を行い総合的に判定します。腹部超音波検査やCT・MRIの画像検査、フィブロスキャンによる肝臓の硬さの測定で進行の程度を評価します。 |
歯周病 | 20代から静かに進行し、40代・60代で急増。65〜74歳で半数超明確な性差データなし | 歯みがきのときに出血する、歯ぐきがときどき腫れる、口臭が気になる、歯がグラグラする、といった症状が現れます。 | 歯科・歯周病科 | 検診・健診自治体の歯周病検診は20歳・30歳・40歳・50歳・60歳・70歳が対象で、歯肉出血、歯周ポケット、歯石の付着状況などを調べます。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖・尿蛋白などで、歯周病の検査は含まれません症状・所見があるとき歯ぐきの腫れや出血、歯のぐらつきがあれば歯科へ。歯周ポケットの深さを調べるプロービング検査、骨の状態をみるレントゲン検査、歯肉の出血の程度を調べる検査を受けます経過観察治療後も定期的な再評価を続けます。 |
十二指腸潰瘍 | 30歳代に多い(胃潰瘍は50歳代前後の中高年に多い)公的資料に男女差の記載なし | 痛みは空腹時に起こるのが特徴で、午後5〜6時ごろや深夜に、毎日のように疼痛が襲ってくることがあります。 | 消化器内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、潰瘍を調べる検査は含まれません症状・所見があるとき数日間にわたって続く空腹時の腹痛を自覚した際は、消化器内科を受診しましょう。上部消化管内視鏡検査(通常は胃カメラ検査)で潰瘍を確認し、血液検査や呼気検査でピロリ菌の感染を調べます経過観察ピロリ菌が見つかった場合は、治療後の効果判定も含めて医師の方針に沿って経過をみます。 |
クローン病 | 男性20〜24歳、女性15〜19歳がピーク男性に多い(約2:1) | 特徴的な症状は腹痛と下痢で、発熱、下血、体重減少、全身倦怠感、貧血のほか、肛門部病変(瘻孔・膿瘍)を伴うことがあります。10歳代〜20歳代の若年者に好発します。 | 消化器内科(炎症性腸疾患専門外来) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、腸の炎症を調べる検査は含まれません症状・所見があるとき慢性の腹痛・下痢、発熱、体重減少、肛門部の瘻孔や膿瘍が続くときは消化器内科へ。大腸内視鏡検査や小腸造影、上部消化管内視鏡検査に加え、腹部超音波検査・CT・MRIで診断します。必要に応じて小腸内視鏡やカプセル内視鏡を行うこともあります。 |
潰瘍性大腸炎 | 男性20〜24歳、女性25〜29歳がピーク男女差なし(1:1) | 下痢や血便が認められ、血液の混ざった下痢のほかに粘液の排出を繰り返すこともあります。痙攣性または持続的な腹痛や発熱を伴うこともあります。 | 消化器内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、大腸の炎症を調べる検査は含まれません症状・所見があるとき血便や粘液の排出、繰り返す下痢や腹痛があれば消化器内科を受診し、X線や内視鏡による大腸検査を受けます。大腸粘膜の一部を採取する生検で病理診断を行います経過観察発病して7〜8年すると大腸癌を合併するリスクが高くなるため、症状がなくても定期的な内視鏡検査が必要です。 |
肝硬変(原発性胆汁性胆管炎) | 20歳以降に発症、50〜60歳が最多女性に多い(約1:4) | 初期は自覚症状がほとんどありません。正式病名は「原発性胆汁性胆管炎(PBC)」です。中年以降の女性に多く、およそ30%の方が中等度から重度の皮膚のかゆみを自覚し、進行すると黄疸、浮腫、だるさが現れます。 | 消化器内科・肝臓内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診で分かる肝機能はAST・ALT・γ-GTで、ほかの基本項目は血圧・血糖・脂質・尿糖尿蛋白などです。ALPは含まれません症状・所見があるとき原因のわからない皮膚のかゆみが続く場合や、職域健診・人間ドックでALP・γ-GTPなど胆道系酵素の高値を指摘された場合は消化器内科・肝臓内科へ。抗ミトコンドリア抗体(AMA)という自己抗体が検出されるのがこの病気の特徴で、専門医が診断します。 |
肝硬変(C型肝炎ウイルス) | 感染から約20年の経過で30〜40%が肝硬変へ進行明確な差なし | C型肝炎ウイルスに感染すると約20年の経過で30〜40%の方が肝硬変に進行します。進行すると白目が黄色くなる、下腹部が膨満する、首や前胸部に赤い斑点が出るなどの症状が現れます。 | 消化器内科・肝臓内科 | 検診・健診特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、HCV抗体や血小板数は含まれません症状・所見があるときHCV抗体検査が陽性なら肝臓専門の先生に相談を。HCV核酸増幅検査(HCV-RNA定量検査)が陽性なら、現在ウイルスに感染していることを意味します。血小板の減少は線維化が進んだ手がかりの一つで、腹部エコーやフィブロスキャン(計測2〜5分、痛みはありません)で肝臓の硬さを評価します経過観察肝硬変では肝がんを合併しやすいため、定期的に画像検査などで経過をみます(発がんのリスクは病期や治療後の状態により異なります)。 |
非アルコール性脂肪性肝疾患 | 男性は40〜50代、女性は60〜70代以上男性は中年層、女性は高齢層 | 自覚症状は何もない人がほとんどで、かなり進行しない限り症状はありません。健診でのALT値異常や脂肪肝の指摘で気づくことが多く、現在は「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」という名称になりました。 | 消化器内科・肝臓内科(内科全般でも可) | 検診・健診特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能(AST・ALT・γ-GT)・尿糖尿蛋白などで、ALT値の基準値異常や肥満(ウエスト周囲径の増大)が手がかりになります。腹部の画像検査は含まれません症状・所見があるとき脂肪肝やALT値の異常を指摘されたら消化器内科・肝臓内科へ。超音波検査やCT検査などの画像検査で脂肪肝を確認し、血小板数や血中の線維化マーカーから求めるFIB-4 index、エラストグラフィによる肝硬度測定で進み具合を評価します。 |
胆石症 | 50歳以上が危険因子(年代別保有率の公的記述はなし)近年は男性の比率が高い(2013年度調査で男女比が逆転) | 胆石があっても無症状であることが少なくなく、胆のう結石の約5割は「無症候性胆石」です。症状が出る場合は、脂っこい食事をした後に右脇腹を中心とした腹痛が起こります。 | 消化器科・外科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、腹部の画像検査は含まれません症状・所見があるとき脂っこい食事のあとなどに右脇腹を中心とした腹痛が起こるときは、消化器科・外科などの専門医を受診することをお勧めします。腹部超音波検査で胆石の有無を確認します経過観察胆のう結石の約5割は無症状のため、指摘された場合は医師の方針に沿って経過をみます。 |
皮膚の病気 | ||||
アトピー性皮膚炎 | 乳幼児〜学童期が最多(3歳児13.2%)。成人では20歳代10.2%が最多で以降低下成人では女性が高い(男性5.4%・女性8.4%) | 皮膚の乾燥とバリアー機能の異常を背景に、かゆみを伴う湿疹が左右対側性に現れます。乳児は頭・顔、幼小児は頸部や四肢の関節部、思春期・成人期は上半身に強く、慢性・反復性に経過します。 | 皮膚科(小児は小児科可) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、皮膚やアレルギーの検査は含まれません症状・所見があるときかゆみを伴う湿疹が左右対側性に、慢性・反復性(乳児では2カ月以上、その他では6カ月以上)に続くときは皮膚科(小児は小児科)へ。診断は皮疹の性状と分布をみる診察が中心です。総IgE・特異的IgE・末梢血好酸球数・TARCは診断の参考項目で、病勢の目安として用いられます。 |
乾癬 | 男性は30〜40代、女性は20代男性に多い | 銀白色の鱗屑(皮膚の粉)をともなう境界明瞭な盛り上がった紅斑ができ、フケのようにボロボロとはがれます。頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側などにできやすく、爪の変形を伴うことも。 | 皮膚科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、皮膚の検査は含まれません症状・所見があるとき銀白色の鱗屑をともなう境界明瞭な紅斑が、頭部・肘・膝・臀部など慢性の機械的な刺激を受けやすい部位に続くときは皮膚科へ。診断は皮疹の見た目とできやすい部位が手がかりになります。10人に1人くらいは関節炎(関節症性乾癬)を伴うため、関節の痛みや腫れがあれば医師に伝えてください。 |
ざ瘡(重度) | 10代前半に発症し、思春期に最も多い(尋常性痤瘡全体で中学3年生87.3%)発症年齢に大きな男女差なし(男13.3歳・女12.7歳) | 思春期以降に顔面や胸背部に面皰(コメド)が初発疹として現れ、悪化すると紅色丘疹や膿疱、さらには囊腫、硬結の形成もみられます。軽症の症状でも瘢痕を残しうるとされます。 | 皮膚科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、皮膚の検査は含まれません症状・所見があるとき紅色丘疹や膿疱、囊腫・硬結ができたら早めに皮膚科へ。重症度は皮疹数による判定と写真によるグローバルな判定で決め、片顔に炎症性皮疹が5個以下で軽症、6〜20個で中等症とされます経過観察軽症でも瘢痕を残しうる一方、早期の治療により瘢痕が予防できるため、症状が落ち着いた後も治療の継続を相談します。 |
ケロイド | 公的資料に好発年齢の記載なし(体質と傷の部位の影響が大きい)公的資料に性差の記載なし | 手術や外傷、熱傷後の傷が赤く盛り上がった状態で、もとの傷の範囲を超えて拡大していきます。前胸部・肩・上腕部、恥骨部、耳介部などに生じやすいのが特徴です。 | 皮膚科または形成外科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、傷あとの評価は含まれません症状・所見があるとき手術や外傷、熱傷のあとの傷が赤く盛り上がり、もとの傷の範囲を超えて拡大する場合にケロイドと診断されます。気になるときは皮膚科または形成外科へ経過観察前胸部・肩・上腕部など生じやすい部位の傷は、医師の指導のもとでテープやシリコンゲルシートによる圧迫療法などを行いながら経過をみます。 |
関節や筋肉の病気 | ||||
関節リウマチ | 2020年代では60歳代の発症が最も多い(人口の0.4〜0.5%)女性が男性の約3倍。高齢発症では男女差が小さい | 主に手指や足趾、手首の関節などの痛みと腫れが数週間から数か月の間に次々に起こり、左右の同じ部位に生じることが多くなります。朝起きたときに最も強い「朝のこわばり」も特徴です。 | リウマチ科・膠原病内科(整形外科可) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体は含まれません症状・所見があるとき手指や手首の左右対称な腫れ、朝のこわばりが数週間続くときはリウマチ科へ。RFはリウマチ患者さんの70〜80%でみられますが、健康な人でも陽性になることがあり、単独では診断できません。CRPや赤沈で炎症をみて、X線の骨びらんや関節超音波・関節MRIで診断します。 |
痛風(高尿酸血症) | 30〜45歳の男性が発症リスク高。女性は閉経後にやや増加男性に圧倒的に多い | 尿酸が高いだけでは自覚症状はありませんが、突然急激に一つの関節が痛み、半日以内に痛みは最高点に達し、痛む関節が赤く腫れて熱を持ちます。足の親指の付け根に最も多くみられます。 | 内科(代謝・内分泌内科)、発作時は整形外科も可 | 検診・健診特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、尿酸値は含まれません。高尿酸血症は健康診断などの簡単な血液検査で分かります症状・所見があるとき足の親指の付け根などが突然激しく痛み、赤く腫れて熱を持つときは内科や整形外科へ。血液中の尿酸が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。関節液を針で採取し顕微鏡で尿酸塩結晶を確認する検査や、レントゲン・エコーなどの画像検査を行うこともあります。 |
変形性関節症 | 40歳以上の膝X線所見での有病率が約55%女性が男性より高頻度(膝OA 女性61.5%・男性42.0%) | 立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに膝が痛みます。進行すると正座や階段の昇降が困難となり、末期には安静時にも痛みがとれず、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。 | 整形外科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、関節の検査は含まれません症状・所見があるとき立ち上がりや歩きはじめの膝の痛み、正座や階段の昇降のつらさが続くときは整形外科へ。X線(レントゲン)検査で診断し、必要によりMRI検査などをします経過観察末期になると安静時にも痛みがとれず歩行が困難になるため、症状の変化を医師に伝えながら経過をみます。 |
全身性エリテマトーデス | 20〜40歳圧倒的に女性(男女比1:9) | 発熱、全身倦怠感、易疲労感、食欲不振などに加え、手や指が腫れて痛む関節炎、頬にできる赤い発疹(蝶型紅斑)、強い紫外線にあたった後の発疹、脱毛、口内炎など多彩な症状が現れます。 | リウマチ科・膠原病内科(皮膚科も可) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、自己抗体の検査は含まれません症状・所見があるとき発熱・全身倦怠感・関節炎に、蝶型紅斑や紫外線にあたった後の発疹、脱毛が重なるときはリウマチ科・膠原病内科へ。抗核抗体、抗dsDNA抗体・抗Sm抗体、C3やC4の低下、0.5g/日以上の尿蛋白などの検査結果を、症状と合わせて専門医が総合的に判断します。抗核抗体だけで診断がつくわけではありません。 |
多発性筋炎・皮膚筋炎 | 中年発症が最多(60歳以上25%)女性に多い(男女比1:3) | 全身の症状として倦怠感、疲労感、食欲不振があり、稀ながら発熱をきたすこともあります。腕の筋力低下により髪の手入れが、太ももの筋力低下により階段を昇るのが困難になります。 | リウマチ科・膠原病内科(皮膚症状主体なら皮膚科) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、筋肉の酵素や自己抗体は含まれません症状・所見があるとき階段を昇る、髪の手入れがつらいといった筋力低下や、まぶたの紅い皮疹(ヘリオトロープ疹)、手指関節などの伸側の皮疹(ゴットロン徴候)が出たらリウマチ科・膠原病内科、皮膚症状が主なら皮膚科へ。筋原性酵素(クレアチンキナーゼ)、筋電図、MRI、筋炎特異的自己抗体を調べ、必要なら筋生検で確認します。 |
シェーグレン症候群 | 50歳代にピーク女性に極めて多い(男1:女17) | 目が乾く・目がごろごろする・目がかゆい・目が痛いといった目の症状や、口が渇く・唾液が出ない・摂食時によく水を飲むといった口の症状、唾液腺の腫れと痛みが現れます。 | 目の症状は眼科、全身症状はリウマチ科・膠原病内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。特定健診の基本項目は血圧・血糖・脂質・肝機能・尿糖尿蛋白などで、涙や唾液の検査は含まれません症状・所見があるとき目の乾きやごろごろ感が続くときは眼科医に相談してください。涙の量をみるシルマーテスト、ローズベンガル試験や蛍光色素試験による角結膜の上皮障害の確認、唾液量をみるガムテスト・サクソンテスト、抗SS-A/Ro抗体・抗SS-B/La抗体を調べ、必要に応じて口唇小唾液腺や涙腺の生検で確認します。 |
強直性脊椎炎 | 45歳未満がほとんど男性に多い(約3:1) | 慢性の腰背部痛・殿部痛。じっとしていると悪化し、体を動かしだすと楽になる「炎症性腰背部痛」が特徴で、朝のこわばりや夜間の痛みもみられます。 | リウマチ科・膠原病内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき安静で軽快せず体を動かすとむしろ改善する腰背部痛(炎症性腰背部痛)が3か月以上続く場合はリウマチ科・膠原病内科へ。X線やMRIで仙腸関節(骨盤と背骨のつなぎ目)の変化や炎症を確認し、CRPで炎症の程度をみます。HLA-B27は診断の補助にすぎず、陽性だけでは診断できないため、症状のない人のふるい分けには使いません。 |
後縦靭帯骨化症 | 中年以降、特に50歳前後男性に多い(2:1) | 首筋や肩甲骨周辺・指先の痛みやしびれ。進行すると両手の細かい作業が困難となる手指の巧緻運動障害、立ったり歩いたりしにくい、排尿や排便の障害が出ます。 | 整形外科(脊椎脊髄外科) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき手指のしびれ、ボタンかけなど細かい動作のしにくさ、歩きにくさ、排尿・排便の障害があれば整形外科(脊椎脊髄外科)へ。頸椎の単純X線検査やCTで靭帯の骨化を確認し、MRIで脊髄の圧迫の程度を評価します。骨化があっても必ずしも全員に症状が出るわけではなく、健診のX線で見つかったときも症状と合わせて判断します。 |
腰椎椎間板変性症 | 30代から椎間板の加齢変化が始まるX線所見は男性に多い(男性80.6%・女性64.6%) | 慢性的な腰痛。長距離の歩行や負荷のかかる作業で痛みが出やすく、進行すると下肢の痛みとしびれ、圧迫された神経に応じた筋力低下や知覚鈍麻、間欠性跛行がみられます。 | 整形外科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき腰痛はまず整形外科での診察が基本です。安静にしても改善しない痛み、悪化する痛み、発熱、下肢のしびれ、尿漏れなどの症状がある場合はすみやかに整形外科を受診してください。症状と診察所見に応じて、X線検査やMRI検査などを選んで神経の圧迫の有無を確認します。 |
骨粗しょう症 | 40代から骨量減少開始、50歳前後(閉経前後)で急激に減少圧倒的に女性 | 骨粗鬆症になっても痛みはないのが普通ですが、転ぶなどちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。進行すると背部や腰部の痛み、背骨の変形や身長の低下がみられます。 | 整形外科(閉経後の女性は定期的な検診を) | 検診・健診健康増進法に基づく市区町村の骨粗しょう症検診があり、40・45・50・55・60・65・70歳の女性が対象です。骨量測定にはDXA法や超音波法などが用いられ、要精検となった方は精密検査の受診指導を受けます。特定健診に骨密度は含まれません症状・所見があるとき背が縮む、腰背部の痛み、軽い転倒での骨折があるときは整形外科へ。腰椎・大腿骨近位部のDXA(デキサ)法が標準的な骨密度測定法です。 |
腎臓や尿路の病気 | ||||
IgA腎症 | 成人は20代、小児は10代で発見多い(全年齢に及ぶ)男性にやや多い | 初期はほぼ無症状で、大部分は検尿で偶然に蛋白尿・血尿を指摘されて見つかります。風邪などの上気道感染後、半日〜3日後ぐらいにコーラのような色の血尿が出るのも特徴です。 | 腎臓内科(腎臓専門医) | 検診・健診特定健診の尿検査は尿糖と尿蛋白が必須項目で、尿潜血は含まれません。健診や検尿で血尿・蛋白尿を指摘されて見つかることが多い病気です症状・所見があるとき異常を指摘されたとき、上気道感染の半日〜3日後ぐらいにコーラのような色の尿が出たときは腎臓内科へ。3回以上の検尿と尿沈渣の分析、血液で腎機能を調べ、確定診断には腎生検(腎臓の組織を採る検査)を行います。 |
ネフローゼ症候群(一次性) | 40歳未満は微小変化型中心、40歳以降・高齢者は膜性腎症中心(60代最多)サブタイプにより異なる | 主症状はむくみ(浮腫)で、手足のむくみや体重の増加で気がつくことがあります。尿が泡立つことも特徴です。高度の場合は胸水や腹水がたまり、全身倦怠感を伴います。 | 腎臓内科 | 検診・健診特定健診の基本項目に尿蛋白が含まれ、1+以上は医療機関の受診勧奨、±は保健指導の対象とされています症状・所見があるとき手足のむくみ、急な体重増加、尿の泡立ちがあれば腎臓内科へ。尿蛋白の量(1日3.5g以上が続くか)を測り、血液で血清アルブミン(3.0g/dL以下)、LDLコレステロール、腎機能を確認します。病型の確認と治療方針の決定のために腎生検を行うことがあります。 |
尿路結石症(腎結石) | 男性は40代、女性は50代がピーク男性が多い(男女比2.4:1) | 急な腰痛・腹痛で発症する疝痛発作が代表的で、吐き気や冷や汗、血尿を伴うことがあります。必ず激しい痛みが生じるとは限らず、鈍痛や重苦しさだけのこともあります。 | 泌尿器科 | 検診・健診特定健診の尿検査に尿潜血は含まれず、対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき急な腰や腹の痛み、血尿、吐き気があれば泌尿器科へ(強い痛みは早急に受診を)。検尿のほか、腹部エコー、腹部単純X線撮影、CTで結石の有無や位置・大きさを確認します。急な強い腹痛では単純CTが強く推奨されます経過観察5年で半数近くが再発するため、主治医と相談して定期的に確認します。 |
甲状腺の病気 | ||||
バセドウ病 | 20〜30代の若い女性女性に多い(男女比1:3〜5) | 動悸、体重減少、指の震え、暑がり、汗かき、疲れやすさ、イライラや落ち着きのなさ。甲状腺が全体的に大きく腫れ、目がとび出るなどの眼の症状が出ることもあります。 | 内分泌・代謝内科(甲状腺外来) | 検診・健診特定健診に甲状腺の検査は含まれず、対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき動悸、汗が多い、体重が減る、手のふるえ、首の腫れがあれば内分泌・代謝内科へ。血液で甲状腺ホルモンと、それを調節しているTSHというホルモンを測り、原因を見分けるために甲状腺に対する抗体を調べます。あわせて超音波検査で甲状腺の状態を確認します。 |
甲状腺中毒性周期性四肢麻痺 | 20〜40歳代男性に多い(バセドウ病自体は女性に多いが、この合併症は男性に多い) | 低カリウム血症を伴う突然の脱力発作。誘因は運動、飲酒や炭水化物の大量摂取です。背景に甲状腺機能亢進症が隠れていることがあり、東洋人に多く、圧倒的に男性に多い病気です。 | 神経内科または救急、背景に甲状腺機能亢進症があれば内分泌内科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません。健診で前もって見つける種類の病気ではありません症状・所見があるとき突然、手足に力が入らなくなったら救急外来・内科を受診してください。発作のあいだに血液のカリウムを調べ、12誘導の心電図を確認します。隠れている甲状腺機能亢進症を見つけるために血漿TSH・free T3・free T4を必ず測定し、落ち着いてから内分泌内科で治療します。 |
子宮や卵巣の病気 | ||||
子宮筋腫 | 30歳以上で約3割に認める女性 | 月経の出血量が異常に多い過多月経と、それに伴う鉄欠乏性貧血、月経痛。月経以外の異常子宮出血や腰痛、トイレが近い(頻尿)、不妊症などの症状が出ることもあります。 | 婦人科 | 検診・健診子宮筋腫そのものを対象とする公的な検診はありません(子宮頸がん検診は別の目的の検査です)症状・所見があるとき経血が多い、強い月経痛、月経以外の出血、腰痛、頻尿などがあれば婦人科へ。婦人科的診察(内診)と超音波検査が基本の検査で、腫瘍のサイズが大きかったり手術を考える場合にMRI検査を追加します。 |
多嚢胞性卵巣症候群 | 生殖年齢女性の5〜8%女性(生殖年齢) | 生理の不順や無月経、不妊、多毛やニキビなどの症状。男性ホルモン(アンドロゲン)の過剰やLHの高値、卵巣に小さな卵胞が多数みられることを伴います。 | 婦人科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき月経不順や無月経、にきび、多毛、妊娠しにくいなどがあれば婦人科へ。問診や内診、超音波検査(エコー)で子宮や卵巣の状態を調べ、血液検査でホルモンのバランスを確認します。診断は①月経周期異常、②多嚢胞卵巣またはAMH高値、③アンドロゲン過剰症またはLH高値の3項目すべてを満たし、クッシング症候群や副腎酵素異常などを除外して行います。 |
子宮内膜症 | 20〜30代に多く、ピークは30〜40歳女性 | 主な症状は月経痛(月経困難症)で、患者さんの約9割にみられます。月経時以外にも下腹部痛や腰痛(慢性骨盤痛)、性交痛、排便痛があり、半数近くが不妊に悩みます。 | 産婦人科(婦人科) | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき月経痛が強い、月経時以外の下腹部痛・腰痛が続く、性交痛や排便痛があるときは産婦人科へ。診断には内診、超音波検査、MRI検査などが用いられます。妊娠しにくいことをきっかけに見つかることもあるため、気になる症状があれば早めに相談してください。 |
その他の病気 | ||||
サルコイドーシス | 二峰性:20代と50代以降(男性は若年、女性は高齢に多い)女性が男性の約2倍 | 約30〜40%の方は自覚症状に乏しく健康診断の胸部X線検査で発見されます。せき・息切れ、目のかすむ感じ(霧視)や飛蚊症・充血・視力低下、発熱、疲れ、皮膚の赤い斑点。 | 眼科、皮膚科、内科、循環器科 | 検診・健診特定健診に胸部X線は含まれません。職域健診などの胸部X線で偶然に見つかることが多く、約30〜40%の方は自覚症状に乏しいまま健康診断で発見されています症状・所見があるときX線で異常を指摘された、せきや息切れが続く、目のかすみ・飛蚊症・視力低下、皮膚の赤い斑点があるときは内科・眼科・皮膚科へ。胸部CTやガリウムシンチ、心電図、血液中のACEやリゾチームを調べ、気管支内視鏡で組織を採って診断します。 |
ベーチェット病 | 20〜40歳、ピークは30代近年は女性優位(従来は男性に多いとされた) | 繰り返す口腔内アフタ性潰瘍(国内調査では約98%にみられ、初発症状として最も頻度が高い)。加えて外陰部潰瘍、皮膚症状(下腿や前腕の結節性紅斑様皮疹、顔や胸のざ瘡様皮疹)、眼の炎症(ぶどう膜炎)。 | 皮膚科・膠原病内科(内科)、目の症状があれば眼科 | 検診・健診対象となる公的な検診はありません症状・所見があるとき繰り返す口内炎に、外陰部の潰瘍、結節性紅斑様皮疹などの皮膚症状、目の充血・かすみ・視力低下が加わったら皮膚科・膠原病内科へ。目の症状があるときは早急に眼科を受診してください。診断は口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍・皮膚症状・眼症状・外陰部潰瘍という主症状の組み合わせで行い、HLA-B51は参考となる検査所見で必須ではありません。 |
※ 葉酸摂取・アルコール代謝については「体質傾向」として解析していますが、発症年齢という考え方が当てはまらないため、この一覧には含めていません。
上手な付き合い方
遺伝的リスクの情報は、使い方を間違えると、役に立つどころか心の負担になってしまいます。次の3つだけは、覚えておいてください。
- リスクが高い=必ず発症する、ではありません
示しているのは、同じ遺伝的背景を持つ集団における統計的な傾向です。リスクが高いと判定されても、必ず発症するわけではありません。発症のしやすさは、病気の種類や年齢、性別、生活習慣、環境などによっても変わります。「注意を向ける場所が分かった」と受け取ってください。
- リスクが低い=発症しない、でもありません
リスクが低いからといって、検診を減らしてよい理由にはなりません。がん検診も特定健診も、これまでどおり受け続けてください。また、症状があるときの受診判断を、リスクの低さを理由に先延ばしにしないでください。この結果は、標準的な健康管理に「足す」ものであって、「引く」ものではありません。
- この一覧は、診断のためのものではありません
症状の受け取り方には個人差があり、同じサインが別の病気から来ていることもあります。急に現れた症状、強い症状、続く症状や繰り返す症状、日常生活に支障が出る変化があるときは、医療機関や救急相談窓口にご相談ください。判断するのは、あなたと医師です。
予防行動の詳細は、会員サイトへ
会員サイトでは、リスクが高いと判定された疾患ごとに、発症との関連が報告されている生活習慣や、一般に推奨されている健康行動を紹介しています。食事、運動、睡眠、検診の受け方——何から始めるかを考える材料がそろっています。
効果には個人差があります。検査結果だけで検診の頻度や治療、生活の制限を決めることはできません。治療中の方や持病のある方は、必ず主治医にご相談ください。
出典
本記事の一覧表に記載した好発年齢は、以下の資料の記述にもとづいています(番号は一覧表内の疾患名に付した番号と対応します)。参照先は国および地方自治体、国立研究機関、専門学会、大学、公的医療機関、公益法人が公開している資料を中心としました。該当する記述が見つからなかった項目については、推測で補わず、その旨を一覧表に明記しています。
資料の性格について
参照した資料には一次統計、診療ガイドライン、患者向け解説が含まれ、性格やエビデンスの水準は一様ではありません。統計の種類(有病率・罹患率・診断時年齢など)、対象集団、統計年度によって数字は変わります。サブタイプ別の統計が存在しない疾患では、疾患全体の数値を参考値として記載し、その旨を該当欄に明記しています。
②初期サイン・③診療科・④受診と検査の目安については、下記の機関が公開している資料を参照して編集しました。
① 好発年齢の根拠
- 咽頭がん(上咽頭がん)https://cancer-c.pref.aichi.jp/about/type/nasopharynx/済生会https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/nasopharyngeal_cancer/
- 食道がん(食道扁平上皮がん)https://www.esophagus.jp/public/cancer/02_epidemiology.html一次統計https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/4_esophagus.html
- 胃がんhttps://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/stomach.html済生会https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/stomach_cancer/
- 胃がん(スキルス)東京大学医学部附属病院 胃・食道外科https://plaza.umin.ac.jp/~phoenix2/scirrhous/
- 胃がん(非噴門部胃がん)https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/stomach.html
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本記事の情報は2026年9月時点のものです。記載内容は一般的な医学情報であり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。遺伝的リスクは集団の統計的な傾向であり、個人の発症時期や症状、予防行動の効果を予測するものではありません。検査には、病気がないのに疑わしいと判定される(偽陽性)、あるはずの病気が見つからない(偽陰性)、放置してよかったものまで見つかる(過剰診断)、目的外の所見が偶然見つかる、放射線被ばくといった不利益もあります。症状があるときは検診ではなく、診療として医療機関を受診してください。掲載している検査は医療機関やコースによって取り扱いが異なります。特定健診・がん検診の項目や判定値は制度改正により変更される場合があります。
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